とれんどねっと

最新トレンド情報を毎日お届け!知っておきたい話題をわかりやすく解説

台湾「大罷免」の波紋:国民党内で起きた前代未聞の対立

「同じ政党の議員をリコールしようとする議員」—こんな信じられない政治ドラマが台湾で実際に起きているんです!

これは単なる個人対立ではなく、台湾政治の深い亀裂を映し出す重大な出来事なんですよ。

台湾政治

台湾政治

この記事でわかること

台湾で何が起きている?国民党内の前代未聞の対立

台湾の花蓮県で今、驚くべき政治対立が起きています。

国民党所属の立法委員(日本でいう国会議員)・傅崐萁(フー・クンチー)に対して罷免(リコール)運動が進行中。

でも驚くのはここからです!

なんとこの罷免運動を公然と支持しているのが、同じ国民党所属の花蓮県議長・張峻(チャン・ジュン)なんです。

ポイント

普通、同じ政党内では助け合うのが基本ですよね?それが真逆の行動を取っているんです。この異例の事態、一体なぜ起きたのでしょうか?

まずは今台湾で広がっている「大罷免」の全体像を見てみましょう!

台湾で広がる「大罷免」の実態と背景

台湾では今、与野党がお互いの議員に対して罷免を仕掛ける「大罷免」と呼ばれる政治現象が広がっています。

「罷免」とは日本語で「リコール」のこと。
有権者が選挙で選んだ議員を任期中に解任できる制度です。

実は日本の国会議員にはこのリコール制度がありません。でも台湾では、立法委員(国会議員)も地方議員も有権者が直接罷免できるんです。すごいですよね!

罷免とは?日本にはない台湾の政治制度

台湾の罷免制度は3段階あります。

  1. 1 罷免提案(有権者の1%以上の署名が必要)
  2. 2 連署(有権者の10%以上の署名が必要)
  3. 3 投票(有権者の25%以上が投票し、賛成が反対を上回れば成立)

これは民主主義の直接参加の形として興味深いですが、政治的な道具として使われることも多いんです。

今回の「大罷免」もそうかもしれませんね。

なぜ今「大罷免」が起きているのか?

「最後が成立すれば朝野双方にとって良くないだけでなく、国家の発展と社会の進歩にも害がある」 —前立法委員 沈富雄(シェン・フーシオン)氏

実は2024年1月の台湾総統選挙で民進党(与党)の賴清徳(ライ・チンドゥ)氏が当選した後、国会では国民党を中心とする野党連合が予算案を凍結させるなど対立が激化。

これに対抗して民進党支持者が野党議員へのリコール運動を始め、それに対する反撃として国民党支持者も与党議員へのリコール運動を展開している状況なんです。

次のセクションでは...

この政治的対立の中で、特に注目されているのが国民党立法委員・傅崐萁への罷免運動。なんと同じ党の地方議員が支持するという異例の展開となっているんです!なぜこんなことが起きているのでしょうか?

次はこの驚きの内幕に迫ります。

 

 

 

国民党内の亀裂—傅崐萁罷免問題の核心

なぜ党内から罷免の声が上がるのか?

その中心にいるのが傅崐萁立法委員です。
彼は国民党の立法院(国会)党団の「総召集人」(党団代表)という重要な役職に就いています。

でも同じ国民党所属の花蓮県議長・張峻は、傅崐萁のことを「国民党内の毒瘤」と酷評。

花蓮地方紙『更生日報』に半面広告を出して罷免支持を表明したんです!

これはかなり衝撃的な出来事ですよね。

傅崐萁とは?国民党を「泡沫化」させる「毒瘤」?

★★★ 特に重要

張峻議長は広告の中で、「傅崐萁が国民党立法院党団総召になってから、国民党全体の評判が急落している」と批判しています。

さらに「もし(党が傅崐萁と)早急に切り離さなければ、国民党は泡沫化するだけでなく、花蓮の将来の発展にも深刻な影響を与える」とまで言い切っています。

沈富雄元立法委員も「立法院の乱局(混乱)の元凶は傅崐萁だ」と指摘。

彼によれば、傅崐萁の評価は「マイナス8点」だそうです。
「もし立法院に傅崐萁がいなければ、今の状況は全く違っていただろう」とまで言っています。

花蓮の地方政治に潜む対立構造

この問題は花蓮の地方政治における長年の対立が背景にあります。

張峻議長の表明後、10以上の民間団体が支援を表明し、『更生日報』に「罷傅愛花蓮、抗共護台湾」(傅を罷免して花蓮を愛し、共産党に抵抗して台湾を守る)という広告を掲載。

地方の政治勢力が大きく動き始めていることがわかります。

[画像: 台湾 更生日報 罷免広告]

花蓮では「反傅勢力」と呼ばれる政治グループもあり、議員の魏嘉賢(ウェイ・ジアシエン)家族の動向も注目されています。

これまで表には出てこなかった地元政治の対立が、今回の件で一気に表面化したといえるでしょう。

これがあなたにとって重要な理由

この状況は、政党内での派閥対立がどのように表面化するかを示す貴重な事例です。日本の政党政治と比較することで、民主主義国家における政党の役割と内部対立の普遍的な構造を理解する手がかりになります。

この状況に対して、国民党の中央はどう対応しているのでしょうか?罷免に賛成する党員に対して、「党の規律」という問題が浮上しています。次はこの党規則と個人の判断の対立について見ていきましょう。

党の規律vs個人の政治判断—国民党考紀会の警告

国民党にとって、党員が党の立法委員の罷免を支持するという事態は大問題です。

国民党考紀会(紀律委員会)の黄怡騰(ホアン・イートン)主任委員は、「党員には党籍立法委員の罷免を支持しない義務がある」と強く警告しています。

つまり、張峻議長の行動は党の規律違反とみなされる可能性があるんです!

「投奔敵営」とは?党員の行動規範

 

「これは選挙と同じだ。みんな分をわきまえるべきだ」
—国民党考紀会 黄怡騰主任委員

黄怡騰主任委員は、党員が党の立法委員の罷免を支持する行為を「投奔敵営」(敵陣営への投降)と表現。

「選挙で相手側のために宣伝するようなもの」と批判しています。

彼は「政党は志を同じくする政治団体だ。政党に加入したからには、党には方向性、理念、目標、政策があり、みんなでそれを共に実現し、達成し、党の決定に従うべき」と主張しています。

党規則は罷免にも適用されるのか?

国民党では選挙の際に「党員行動規範」を制定して党員を縛ることが多いのですが、今回の罷免に関してもそうした規範を作るべきかが議論されています。

黄怡騰主任委員は「それはいい考えだ」としながらも、罷免と選挙は全く異なる手続きであり、現在の罷免活動は党の外部が推進していることから、実施は難しいとも話しています。

張雅屏氏が指摘する規則適用の困難さ

元国民党副秘書長の張雅屏(チャン・ヤーピン)氏は、罷免に対する党員行動規範の制定は「困難で実施も難しい」と指摘しています。

補足情報

彼によれば、罷免は連署と投票の2段階あり、党員が連署に参加したかどうかを知る方法はないうえ、罷免投票は賛成か反対かの選択で候補者がいません。立場表明の状況は複雑で、「党員がある人を嫌いならどうするのか?」という問題もあるそうです。

張雅屏氏はさらに興味深い指摘をしています。

「もし本当に罷免を支持するなら、なぜ表立って行動する?表に出てくるのは基本的に態度表明であり、元々あなたから離れようとしていて、党の規律を恐れていないということだ!」

このように、台湾の政治では党の規律と個人の政治判断がぶつかり合う場面が生まれています。これは日本ではあまり見られない政治風景ですが、普遍的な政治課題でもあります。次はこの事態が示唆する意味について、日本との比較も交えて考えてみましょう。

 

 

 

この政治対立が台湾と日本に示唆するもの

台湾で起きている国民党内部の対立は、単なる個人間の争いを超えた、政治制度や政党のあり方に関わる重要な問題を提起しています。

日本では起こり得ない?政治制度の違い

まず大きな違いは、日本には国政レベルの「罷免(リコール)制度」がないことです。

日本の国会議員は、一度選ばれると任期中に有権者が直接解任する方法はありません。
一方、台湾では立法委員(国会議員)も罷免の対象なんです。

項目 日本 台湾
国会議員リコール なし あり
地方議員リコール あり あり
リコールの手順 有権者の1/3以上の署名など(地方) 3段階プロセス(提案→連署→投票)
政党内規律 党議拘束が強い 党規律と個人判断の緊張関係

このように制度が違うと、政治の動き方も変わってきます。

日本では「離党」や「造反」という形で党との対立を表明することが多いですが、台湾では「罷免支持」という形で表れることもあるんですね。

政党内民主主義のジレンマ

この事態は「政党内民主主義」という普遍的な問題も浮き彫りにしています。

政党は一致団結することで政治的な力を発揮できますが、その中での多様な意見をどう扱うかは難しい問題です。

国民党考紀会の黄怡騰主任委員は「党員には党の決定に従う義務がある」と主張していますが、一方で張峻議長は「傅崐萁は国民党の毒瘤」と判断し、党よりも(彼が考える)国と地域の利益を優先したとも言えます。

「政党の規律と個人の良心、どちらを優先するべきか?これは民主主義の永遠の課題である」

台湾政治の今後の展望

前立法委員の沈富雄氏は、「大罷免」を終わらせるための6つの提案をしています。

その中で特に注目なのは「藍白緑(国民党・民衆党・民進党)が協力して、混乱の元凶である傅崐萁を罷免すべき」という提案です。

これは台湾政治の「大同団結」と「特定個人の排除」という矛盾した提案に見えますが、台湾の複雑な政治状況を反映しているとも言えるでしょう。

さらに沈富雄氏は「傅崐萁が国民党の顔である限り、国民党には永遠に希望がない」とまで言い切っています。「もし傅崐萁が罷免されれば、国民党内で密かに喝采する人は少なくないだろう」という発言も、党内の複雑な感情を表しています。

台湾のこの政治的対立は、政党内の結束と個人の判断、地方政治と全国政治の関係性など、民主主義の根本的な課題を私たちに考えさせてくれます。


まとめ:台湾の「大罷免」から考える政党と民主主義

台湾の花蓮県で起きている国民党内部の対立—傅崐萁立法委員への罷免運動に同じ党の張峻議長が支持を表明するという異例の事態—は、単なる個人対立を超えた台湾政治の構造的問題を映し出しています。

この事態から見えてくる重要ポイント

  • 台湾の政治は「大罷免」と呼ばれる大規模なリコール合戦の中にあり、政党の枠を超えた対立が激化
  • 政党内でも「党の利益」についての見解が分かれ、時に党の規律よりも個人の政治判断が優先される場合がある
  • 政党は規律を守らせようとするが、実効性には限界がある
  • 地方政治と全国政治の複雑な関係性が台湾政治の特徴

日本には罷免制度がないため、このような政治現象は起こりにくいですが、政党内の意見対立という普遍的な政治課題は共通しています。

あなたの考えを聞かせてください

政党に所属する政治家は、党の方針と自分の信念が対立したとき、どちらを優先すべきだと思いますか?

台湾の事例は、この古くて新しい政治の課題について、私たちに新たな視点を提供してくれています。

この記事が役立ったらシェアしてください

✖️ X(旧Twitter)でシェア
プライバシーポリシー / 運営者情報 / お問い合わせ