元JA職員が断言した「農協はショッカーではない」という発言が話題になっています。
長年批判されてきた農協の実態とは、いったい何なのでしょうか?
現場で働く職員や農家の証言から、農協の真の姿に迫ります。
🏢 農協とは何か?基本の仕組み
農協(JA)は、農業者が集まって作った協同組合です。
正式名称は「農業協同組合」で、全国に496の農協があり、約1000万人が組合員として参加しています。
💡 農協の最大の特徴
利益を追求しない組織だということです。
元JA職員の高津佐和宏氏は「一般の事業者のように、1万円で買った物を1万5000円や2万円で売ることは、基本的にはできない」と説明しています。
つまり、農協は手数料のみで運営されているのです。
農家から預かったコメを1万円で売ったら、そこから規定の手数料をもらうだけ。
配送料や保管料は実費で請求しますが、それ以外に儲ける仕組みがないのが実情です。
農協法の目的:「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図る」
では、なぜこんな組織が「悪」と言われるのでしょうか?次に詳しく見ていきましょう。
❓ なぜ「悪の組織」と言われるのか
農協批判の多くは、実は上部組織への不満が原因となっています。
地域の農協と、JA全農や中央会などの全国組織は、実は全く別の問題を抱えているのです。
👥 地域農協で働いていた職員の方からの声
- 「JA不要と一言に言ってますが、JAの上部組織の事では無いかと私は思っています」
- 「地域の単位農協では、組合員である農業者が比較的密接に運営に関わっています」
- 「上部組織は官僚的で効率性を重視しすぎており、地域の農家のニーズに合わない部分が多い」
地域の農協は農家が主役ですが、上部組織になると大企業的な体質が強くなります。
個別農家のニーズとのずれが生じやすくなるのです。
一部では職員への「自爆営業」の強要なども問題となっており、これらが農協全体への不信につながっています。
⚠️ 問題となっている点
- 上部組織の官僚的体質
- 職員への過度なノルマ設定
- 地域ニーズとの乖離
- 自爆営業の実態
しかし、地域レベルでは違った現実があります。実際の農家の声を聞いてみましょう。
🌾 農家が語る農協の必要性
千葉県でコメ作りを50年続ける染谷茂さん(75)は、「農協がなくなったら大変なことになる」と断言します。
染谷さんの農場は150ヘクタール(東京ドーム約32個分)の広さで、なんと350軒の農家が米作りをやめたおかげで成り立っているのです。
💰 農協の「概算払い」システム
農協の重要な役割の一つが「概算払い」です。
これは農家から買い上げる際に、農協が提示する値段のこと。
染谷さんは「絶対に損しない商売、それが概算」と説明します。
📊 概算払いの流れ
- 1農家が収穫して玄米を農協に出荷
- 2検査を受けて農協の倉庫に入ると概算金が支払われる
- 3全農が売り先を探して売却
- 4売り上げから経費や手数料を引いて、余ったら清算
個人でやろうとすると大変な作業を、農協がまとめて行ってくれるのです。
1軒の農家がすべて自前でやるには、運搬、売り先探し、価格交渉、肥料購入、自然災害への備えなど、あまりにも負担が大きすぎます。
🌱 現代でも欠かせないサポート
🚀 農協が提供する主要サービス
- 苗の大量供給:各農家が個別に温室を建てて苗を作るのは現実的ではない
- 米の乾燥・保管:ライスセンターでの大規模処理により品質を保つ
- 品質検定:一等米、二等米の認定で価格が決まる
農協がなければ、これらのサービスを個人で確保するのは不可能に近いでしょう。
あなたは、一人でこれほど多くの業務を同時に行えると思いますか?
このような現状を踏まえ、政府はどのような改革を進めようとしているのでしょうか?
⚖️ 小泉農水大臣が目指す農協改革
2025年、小泉進次郎農林水産大臣の就任で農協改革への注目が再び高まっています。
しかし、小泉氏が目指すのは農協の解体ではありません。
小泉氏はこのように問題提起しています。
つまり、本来の目的である「農家のため」に特化してほしいという考えです。
🎯 改革のポイント
- 金融機関として儲けを優先する体質の見直し
- 地域の独立性を高める
- 農業と言っても地域によって特性は違うことへの対応
ジャーナリストの青山和弘氏は「信用事業の銀行や共済事業の保険を存続させるのと、農業発展のためにどうしたらいいかということは、利益が相反することがある」と指摘しています。
⚖️ 改革の課題
農業の競争力を保つには集約化が必要ですが、銀行業をやるためには零細農家も守らないといけない。
この矛盾をどう解決するかが、改革の鍵となりそうです。
あなたは農協改革についてどう思いますか?
地域の農業を支える組織として、どのような方向性が望ましいと考えますか?
❓ よくある質問
Q: なぜ農協は「悪の組織」と言われるのですか?
A: 主な理由は上部組織(JA全農・中央会など)への不満です。地域農協は農家主体ですが、上部組織は官僚的で地域ニーズとの乖離があることが批判の原因となっています。
Q: 農協改革の後、その後どうなるのですか?
A: 小泉農水大臣が目指すのは解体ではなく、本来の「農家のための組織」への回帰です。地域の独立性を高め、金融事業優先から農業支援特化への転換が予想されます。
Q: 農協がなくなった場合、農家にとって最も困る理由は何ですか?
A: 個人では対応困難な業務(苗の大量供給、米の乾燥・保管、品質検定、概算払いシステム)を失うことです。350軒分の農地を管理する染谷農家の例からも、農協の役割の重要性がわかります。
Q: 現在の農協の利益構造はどうなっていますか?
A: 農協は協同組合のため利益追求ができません。手数料のみで運営され、「1万円で買った物を1万5000円で売る」ような利益追求は基本的にできない仕組みになっています。
📝 まとめ
農協は決して「悪の組織」ではありません。
地域レベルでは、農家にとってなくてはならない存在として機能しています。
🔑 重要なポイント
- 農協は手数料のみで運営される協同組合で、余分な利益を得る仕組みがない
- 批判の多くは上部組織への不満で、地域農協とは別の問題
- 農家にとって農協は不可欠な存在で、個人では対応困難な業務をサポート
- 小泉農水大臣の改革は解体ではなく、本来の「農家のため」への回帰が目標
確かに改革が必要な部分もありますが、農協なしでは日本の農業は成り立たないのが現実です。
大切なのは、地域の農家のニーズに応える組織として、どう発展していくかということでしょう。
あなたの地域の農協はどうですか?
農家の声に耳を傾ける組織として機能しているでしょうか?
💭 ぜひコメントで教えてください。
ℹ️ 豆知識:
2025年は国際協同組合年に定められており、農協のような協同組合の重要性が世界的に注目されています。
📚 参考情報
- ABEMA TIMES: 農協は"悪の組織"なのか?元JA職員「ショッカーではない」「余分に儲ける仕組みがない」農家「絶対に損しない商売」 ()
- 農林水産省: 農協とは(設立方法も含む) ()
- マイナビ農業: いまさら聞けない「農協」とは【第1回】~協同組合ってなに?~ ()