日産が追浜・湘南の2工場閉鎖へ。60年以上の歴史と5000人超の雇用に幕、その衝撃の理由と影響とは？
この記事を読むと、日産自動車の大規模工場閉鎖の背景と今後の展開が詳しくわかります。
なぜ日産が長年の主力工場を手放すのか、そして地域経済にどのような影響があるのかを解説します。
5月17日、日産自動車が2027年度までに世界で7工場を削減する計画を発表しました。
国内では神奈川県の追浜工場（横須賀市）と日産車体湘南工場（平塚市）の閉鎖が明らかになりました。
これは日産にとって過去最大級の拠点再編となります。
6700億円を超える巨額赤字を背景に、経営立て直しを図る苦渋の決断です。
実は今回の閉鎖計画で、日産は創業の地・神奈川県から完全撤退することになるのです。
✅ 日産の追浜工場・湘南工場とは？閉鎖対象となった2つの工場の概要
まず、閉鎖が発表された2つの工場について理解しておきましょう。
追浜工場と湘南工場は、日産の長い歴史を支えてきた重要な生産拠点です。
📌 追浜工場の基本情報
- 所在地：神奈川県横須賀市夏島町
- 操業開始：1961年（60年以上の歴史）
- 生産車種：小型車「ノート」
- 生産能力：年間24万台
- 従業員数：約3900人
追浜工場は1961年に操業を開始した歴史ある工場です。
東京湾に面した神奈川県横須賀市に位置し、現在は小型車「ノート」を生産しています。
この工場は日産の電動化戦略においても重要な役割を果たしてきました。
2010年には日産で初めて量産型電気自動車「リーフ」の生産を開始し、2016年には電動パワートレイン「e-POWER」搭載の「ノート」の生産を始めました。
📌 湘南工場の基本情報
- 所在地：神奈川県平塚市
- 運営：日産車体（日産の子会社）
- 生産車種：「NV200バネット」「AD」
- 生産能力：年間15万台
- 従業員数：約1200人
一方、湘南工場は日産車体の拠点として神奈川県平塚市にあります。
現在は商用バン「NV200バネット」と「AD」を生産しています。
かつてはフェアレディZやエルグランド、スカイラインなどの人気車種を生産してきた「名車の工場」として知られています。
2つの工場を合わせると約5100人（追浜約3900人、湘南約1200人）が働いており、地域の雇用を支えてきました。
では、なぜこれほど歴史ある工場を日産は閉鎖することになったのでしょうか？
🔍 なぜ日産は追浜・湘南工場を閉鎖するのか？4つの決定的理由
追浜・湘南工場閉鎖の背景には、複数の厳しい経営課題があります。
日産が直面している主な問題は以下の4つです。
1. 低すぎる工場稼働率
最も大きな理由は工場の稼働率の低さです。
調査会社マークラインズによると、2024年の追浜・湘南両工場の稼働率はわずか4割前後でした。
ℹ️ なぜ稼働率が重要なのでしょうか？
自動車工場の損益分岐点は通常7〜8割とされています。つまり、両工場は大きく採算ラインを下回る状態が続いていたのです。
2. 過剰な生産能力
日産の国内生産能力は約120万台ですが、2024年度の実際の生産は約64万台にとどまっています。
生産能力の約半分しか使われていない状況です。
この供給過剰が経営を圧迫していました。
「過剰な生産設備が経営を圧迫している」と日産側は説明しています。
3. 巨額の赤字
日産は5月13日に発表した2025年3月期連結決算で、最終利益が6708億円の赤字に転落したことを明らかにしました。
この状況を打開するため、日産は2027年度までに世界で2万人の人員削減を行うとともに、完成車工場を17から10に集約する大規模リストラに踏み切りました。
4. 電動化への対応
自動車業界は電動化に向けた大規模な転換期を迎えています。
日産も電気自動車（EV）や電動パワートレイン「e-POWER」などの開発に注力していますが、生産体制の効率化も急務となっています。
特に追浜工場は1961年の操業開始から60年以上が経過し、施設の老朽化も課題でした。
新たな電動車生産のための設備投資を考えると、効率化が必要だったとも考えられます。
💪 競合他社との比較
- トヨタ：国内生産の稼働率は7割以上を維持
- ホンダ：国内工場の統廃合を既に実施済み
- マツダ：少数精鋭の工場体制を維持
ではこの工場閉鎖は、従業員や地域にどのような影響を与えるのでしょうか？
😨 日産の工場閉鎖が従業員と地域経済に与える意外な影響
工場閉鎖の影響は従業員にとどまらず、地域経済にも大きく波及します。
特に注目すべき影響は以下の点です。
5000人超の従業員の行方
追浜工場には約3900人、湘南工場には約1200人、合計約5100人が働いています。
彼らの多くは神奈川県内に居住しており、地域社会の一員として長年暮らしてきました。
👤 従業員の声
「商用バン『AD』の生産終了が決まり、工場としてどう頑張っていくか考えていたところ。閉鎖だけは避けてほしい」と湘南工場の男性社員は不安を口にしています。
下請け企業への影響
自動車産業は裾野が広く、部品メーカーや物流会社など多くの下請け企業が存在します。
工場閉鎖はこれらの企業にも大きな打撃となります。
特に工場周辺には「企業城下町」と呼ばれる地域が形成されており、日産関連の仕事に依存している企業や店舗も少なくありません。
過去のリバイバルプラン時の教訓
あなたはご存知でしたか？ 実は日産は過去にも大規模なリストラを経験しています。
1999年にカルロス・ゴーン元社長が主導した「リバイバルプラン」では、全世界で2万1千人を削減し、複数の工場を閉鎖しました。
当時も神奈川県内では久里浜工場（横須賀市）などが閉鎖され、地域経済に大きな影響がありました。
地域ブランドへの影響
日産と神奈川県、特に横須賀市や横浜市は密接な関係を築いてきました。
例えば、Jリーグの横浜F・マリノスは日産がスポンサーを務め、練習場も横須賀市にあります。
工場閉鎖は単なる経済問題だけでなく、地域のアイデンティティにも影響を与える可能性があるのです。
それでは、閉鎖後の工場跡地はどうなるのでしょうか？
🏢 工場閉鎖後の跡地はどうなる？再開発の可能性と今後の展望
工場閉鎖後の跡地利用は、地域の将来に大きく影響します。
過去の事例や現在の状況から考えられる展開を見ていきましょう。
再開発の可能性
実は日産車体の湘南工場では、過去に第1地区が閉鎖され、その跡地には「ららぽーと湘南平塚」というショッピングモールが建設されました。
👤 地域住民のコメント
「地価の高い首都圏の工場でしたね。追浜は東京湾を臨むとてもいい環境なので大規模な再開発には向いている場所です。売却益はかなりの額になるでしょう」とあるコメントは指摘しています。
高い不動産価値
特に追浜工場は東京湾に面した好立地にあり、不動産価値が高いと考えられます。
湘南工場も交通アクセスの良い場所にあるため、商業施設や住宅地などへの転用が期待されます。
この再開発が適切に進めば、工場閉鎖によって失われる雇用を部分的に補う新たな雇用が生まれる可能性もあります。
自治体の対応
横須賀市や平塚市といった自治体は、工場閉鎖という大きな打撃に対して、雇用対策や跡地利用の計画に取り組む必要があります。
神奈川県の黒岩知事も「早く再生を」とコメントしており、行政としても支援策を検討していくでしょう。
日産の今後の生産体制
国内では栃木工場（栃木県）と福岡県の二つの工場が残る見込みです。
日産は中国を除いて世界の生産能力を24年度の350万台から27年度に250万台に減らす計画です。
「持続可能でない」と判断された体制を見直し、より効率的な生産体制の構築を目指しています。
あなたはどう思いますか？
工場閉鎖は避けられない経営判断なのか、それとも別の選択肢があったのでしょうか？
地域経済への影響をどのように最小化すべきだと思いますか？
まとめ：日産の工場閉鎖が示す自動車産業の大きな転換点
日産の追浜・湘南工場閉鎖計画は、単なる一企業の問題ではなく、日本の自動車産業全体の課題を映し出しています。
📋 重要ポイントまとめ
- 日産は2027年度までに追浜工場と湘南工場を含む世界7工場を閉鎖予定
- 主な理由は低稼働率（4割前後）と6700億円を超える巨額赤字
- 約5100人の従業員と多くの下請け企業に大きな影響
- 工場跡地は高い不動産価値を持ち、再開発の可能性が高い
この決断は日産にとって「痛みを伴う」ものですが、持続可能な企業としての生き残りをかけた決断とも言えるでしょう。
工場閉鎖は従業員や地域にとって厳しい現実ですが、適切な支援と再開発によって、新たな可能性を見出すことも重要です。
あなたは日産の工場閉鎖についてどう思いますか？神奈川県の経済への影響をどのように考えますか？
ぜひコメント欄でご意見をお聞かせください。
よくある質問
Q: なぜ日産は追浜工場と湘南工場を閉鎖することを決めたのですか？
A: 主な理由は低稼働率（4割前後）と過剰な生産能力です。自動車工場の損益分岐点は通常7〜8割とされており、両工場は大きく採算ラインを下回る状態が続いていました。また、6700億円を超える巨額赤字を背景に、経営立て直しのための決断でもあります。
Q: 工場閉鎖後、5000人以上の従業員はどうなるのですか？
A: 日産は2027年度までに世界で2万人の人員削減を行う計画の一環として、両工場の従業員約5100人（追浜約3900人、湘南約1200人）の処遇を検討しています。配置転換や早期退職などの可能性がありますが、具体的な内容はまだ公表されていません。
Q: 追浜工場と湘南工場の閉鎖後、跡地はどうなる可能性が高いですか？
A: 過去の事例では、日産車体湘南工場の第1地区跡地に「ららぽーと湘南平塚」というショッピングモールが建設されました。両工場とも立地条件が良いため、商業施設や住宅地などへの再開発が期待されています。東京湾を臨む追浜工場は特に不動産価値が高いと考えられています。
Q: 日産の生産能力は以前と比べてどのように変わりますか？
A: 日産は中国を除いて世界の生産能力を24年度の350万台から27年度に250万台へと約30%減少させる計画です。国内では栃木工場（栃木県）と福岡県の二つの工場が残る見込みで、より効率的な生産体制の構築を目指しています。
参考情報
- 読売新聞オンライン: 日産が神奈川の追浜と湘南の２工場閉鎖へ…世界７工場削減計画 ()
- 日産自動車公式サイト: 日産 工場見学総合サイト
- 日産車体: 湘南工場 - 日産車体とは
