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南海トラフ巨大地震の新被害想定 — 経済被害292兆円の衝撃

 

皆さん、想像してみてください。経済被害292兆円、最大2950万軒が停電、1300万回線以上の固定電話が使えなくなる——。

これは映画のストーリーではなく、先日政府が発表した南海トラフ巨大地震の新たな被害想定なんです。東日本大震災の実際の被害の17倍以上という、まさに「未曽有の国難」と呼ばれる災害への備えについて、今日は詳しく見ていきましょう。

南海トラフ巨大地震

南海トラフ巨大地震

 

「未曽有の国難」経済被害292兆円の衝撃 — 何が変わったのか

2025年3月、政府の中央防災会議の作業部会が南海トラフ巨大地震による新しい被害想定を公表しました。前回2013年の想定から12年ぶりの更新となるこの発表、経済被害の総額がなんと292.3兆円と、前回よりも50兆円以上も増加しているんです!

内訳を見てみると、地震や津波による工場、オフィス、住宅などへの直接的な被害は224.9兆円。これだけでも東日本大震災の実際の被害額16.9兆円を大きく上回っています。

また、生産減少などの間接的な被害も1年間で45.4兆円と試算されており、そのうち自動車を含む製造業の被害だけで20.5兆円(間接被害の45%)に達するんです。

【経済被害の内訳】
・直接的被害:224.9兆円
・間接的被害:45.4兆円(1年間)
・交通寸断の影響:22兆円
・港湾機能停止:14.1兆円

特に注目すべきは交通網の寸断による影響。新幹線や高速道路などの被害による経済的影響は22兆円で、そのうち港湾の機能停止による影響が14.1兆円とされています。

日本の製造業は輸出入に大きく依存しているため、港の機能が停止すると部品の調達や製品の出荷ができなくなり、長期間にわたって生産活動が滞ってしまうんですね。

では、こうした経済被害はどのような形で私たちの生活に影響するのでしょうか?次は、インフラ被害の新想定について見ていきましょう。

 

 

 

インフラ被害の新想定 — 最大2950万軒の停電と通信網の崩壊

今回の新しい被害想定では、停電の規模が前回よりも9%増加し、最大2950万軒に達すると予測されています。これは全国のおよそ半数近くの世帯が電気を使えなくなる計算です。

また、固定電話は前回より41%多い最大1310万回線が通話できなくなるとされています。

【特に注意が必要な連鎖的被害】
・港の被災によるLNG輸入停止
・火力発電所の燃料不足
・長期的な電力供給の停滞
・食料保存や医療サービスへの影響

特に深刻なのが、港の被災によって液化天然ガス(LNG)が輸入できなくなり、火力発電所の燃料が不足するという連鎖的な問題。電力の供給が長期間回復しないと、食料の保存や医療サービスにも影響が出てきます。

冷蔵庫が使えない、病院の医療機器が動かないといった状況が続くと、食料供給危機や医療危機にもつながりかねません。

「でも、自分の住んでいる地域はどうなるの?」と気になりますよね。次は地域別の影響について詳しく見ていきましょう。

 

地域別の影響 — あなたの住む場所はどうなる?

三重県 — 死者想定は減少、しかし津波到達時間は短縮

三重県では、国の新たな想定によると、県内の死者が最大で約2万9千人と、従来の想定に比べて1万4千人減少したそうです。これは津波対策が進んでいることや、人口減少などを踏まえた結果と考えられます。

しかし、沿岸部にある市町の多くでは、津波の予想到達時間が従来の想定よりも早まっています。例えば、明和町では高さ1メートルの津波が到達するまでの時間が、これまでの55分から30分に短縮されました。これは避難のための時間が大幅に少なくなることを意味します。

一見勝之三重県知事は「津波で亡くなる方を少しでも減らす」と述べ、県独自の被害想定を策定する考えを示しています。三重県は来年3月をめどに、災害関連死や車中泊避難者の人数なども含めた新たな被害想定を公表する方針です。

長野県 — 震度6強の地域が6市町村に増加

長野県では、新たに公表された市町村別の最大震度で、36の市町村が震度6弱以上の揺れが想定されています。前回の2012年の推計では34市町村でしたが、塩尻市と木曽郡王滝村がそれぞれ震度5強から6弱へ引き上げられました。

【長野県の震度6強想定地域】
・飯田市
・伊那市
・阿南町
・大鹿村
・天龍村(新たに6強に引き上げ)
・泰阜村(新たに6強に引き上げ)

さらに注目すべきは、下伊那郡天龍村と泰阜村がそれぞれ震度6弱から6強へ引き上げられたことです。これで県内で震度6強の揺れが起こり得るとされる市町村は、飯田市、伊那市、阿南町、大鹿村と合わせて計6市町村となりました。

一方で、8つの町村では最大震度が引き下げられており、地域によって状況が異なることがわかります。

では、こうした大規模災害に対して、政府や企業はどのような対策を進めているのでしょうか?次のセクションで見ていきましょう。

 

 

 

政府・企業の対策最前線 — 何が進んでいるのか

自治体の対策 — 三重県知事「津波犠牲者を減らす」

三重県では一見知事のもと、新たな被害想定を踏まえた独自の対策を進めています。特に津波到達時間が早まったことを受け、より迅速な避難体制の整備が急務とされています。

また、県は来年3月をめどに独自の被害想定を公表する方針で、災害関連死や車中泊避難者の人数なども新たに推計するとしています。

インフラ企業の取り組み — JR東海と関西電力の最新対策

JR東海は東海道新幹線東京―新大阪間の高架橋柱の耐震補強を2024年度末に完了させました。また、地震発生時に脱線を防ぐ線路設備も、2028年度までに全線で設置する方針です。

大阪ガスは各地点の津波の到達時間や高さなどを瞬時に予測する「津波防災システム」を開発。浸水が見込まれる地域ではガスの供給を止め、事故を防ぐ仕組みを整えています。

関西電力送配電は、停電時に応急的に電気を送る「高圧発電機車」の配備などを進めており、新たな被害想定について「精査し、見直すべき対応がないか検討していきたい」としています。

製造業の動き — トヨタとスズキに見る事業継続戦略

静岡県に本社や5工場を持つスズキは、2018年に浜松市の高台に二輪車を製造する浜松工場を稼働させ、同県磐田市の沿岸部にあった二輪車の研究開発施設なども集約しました。これは津波被害を避けるための先進的な取り組みと言えるでしょう。

トヨタ自動車も工場やオフィスの耐震補強や災害時の行動確認を進め、体制を強化しています。

さて、政府や企業の対策を見てきましたが、最も大切なのは私たち一人ひとりの備えです。次は個人レベルでできる対策について考えてみましょう。

 

私たちにできること — 「自助」が命を守る最大の防御

一見三重県知事は「日ごろの備えが大事。共助や公助も進めるが、まず自分の身を自分で守ることを考えてほしい」と呼びかけています。

確かに、大規模災害の発生直後は、行政による救助(公助)や地域の助け合い(共助)だけでは限界があります。自分の命は自分で守る「自助」の意識と行動が何よりも重要なんです。

具体的には、以下のような備えをしておきましょう:

  • 最低3日分(できれば1週間分)の水や食料、医薬品などの備蓄
    一人一日あたり3リットルの水と、調理不要で賞味期限の長い食品を準備しておくと安心です。
  • 家族との連絡方法や避難場所・避難経路の確認
    災害時は携帯電話がつながりにくくなるため、災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板サービスの使い方も家族で確認しておきましょう。
  • 住宅の耐震診断や耐震補強
    古い建物ほど地震に弱い傾向があるため、特に1981年以前に建てられた住宅は耐震診断を受けることをおすすめします。多くの自治体では耐震診断や補強工事に補助金を出していますので、お住まいの自治体に問い合わせてみてください。

 

まとめ — 「想定外」にしないための備え

南海トラフ巨大地震の新たな被害想定は、日本が直面する可能性のある「未曽有の国難」の規模を改めて示しました。経済被害292兆円、最大2950万軒の停電、固定電話1310万回線の通話不能など、その影響は国全体に及びます。

特に製造業の集積地が被災することで、サプライチェーンの寸断が長期にわたり、日本経済全体の停滞を招く恐れがあります。各地域の状況も変化し、震度想定が引き上げられた地域や、津波到達時間が短縮された地域があることも分かりました。

中部経済連合会の根本恵司常務理事は「ものづくりの中核を担う地域が被災する南海トラフ地震は、未曽有の国難になりかねない。被害を最小限に抑えるため、対策を強化すべきだ」と語っています。

しかし、最も大切なのは私たち一人ひとりの「自助」の意識です。「いつか来るかもしれない」ではなく、「必ず来るもの」として備えることが重要です。

今一度、ご家庭の防災対策を見直し、避難計画を家族で話し合い、必要な備蓄を確認してみませんか?

その小さな一歩が、いざというときに命を守る大きな力となります。災害は「想定外」にしないことが、最大の防御なのです。

 

よくある質問

Q: 南海トラフ地震はいつ発生するのですか?
A: 南海トラフ地震は「いつ起きてもおかしくない」と言われています。気象庁や研究機関では正確な発生時期を予測することはできませんが、今後30年以内に70〜80%の確率で発生すると予測されています。

Q: 自宅の備蓄は具体的に何をどれくらい用意すればいいですか?
A: 最低3日分、できれば1週間分の水(1人1日3リットル)と食料(調理不要なもの)を用意しましょう。その他、常備薬、懐中電灯、ラジオ、モバイルバッテリー、簡易トイレ、救急セット、貴重品、着替えなども必要です。家族構成に合わせて必要なものを検討してください。

Q: 津波からの避難はどうすればいいですか?
A: 地震を感じたら、津波警報や避難指示を待たずにすぐに高台や津波避難ビルなど安全な場所へ移動してください。「より遠く」ではなく「より高く」を意識し、徒歩で避難することが基本です。地域の津波ハザードマップで事前に避難場所を確認しておきましょう。

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