江戸時代の天才・平賀源内が52歳で獄死した裏には、凶宅に引っ越した後に起きた謎の殺人事件があった。
動機も殺した相手も不明という謎多き事件の真相とは？一体何があったのか？
この記事でわかること
この記事を読めば、江戸時代を代表する天才・平賀源内の謎多き最期の真相がわかります。
エレキテルで一世を風靡した発明家が、なぜ殺人事件を起こし、獄中で亡くなることになったのか。
凄腕の山師、人気戯作者、絵師、発明家と八面六臂の活躍をした平賀源内の人生は、突然の転落によって暗転します。
安永8年（1779年）、源内が自首した殺人事件の謎と、その後の悲劇的な最期について迫ります。
🔍 なぜ平賀源内は江戸で天才と称されたのか
平賀源内は江戸時代中期、様々な分野で活躍した稀代の天才でした。
多くの人が「エレキテルを発明した人」と思っていますが、実はエレキテルは発明ではなく修復だったのです。
源内はオランダから持ち込まれた壊れたエレキテル（静電気発生装置）を、約7年の歳月をかけて修復しました。
この功績により、安永5年（1776年）には江戸の名士として一躍有名になったのです。
しかし、源内の才能はそれだけではありませんでした。
- 本草学者（現代の植物学や薬学に近い学問）
- 人気戯作者（『根南志具佐』など）
- 西洋画を日本に広めた絵師
- 「土用の丑の日にうなぎを食べる」発案者
- 温度計や火浣布（石綿）など様々な実用品の製作
その人気絶頂から、わずか3年後に源内の人生は暗転します。
いったい何があったのでしょうか？👇
次に、源内の運命が暗転する原因となった不吉な出来事について見ていきましょう。
😱 意外な転落の始まり - 源内が住んだ"凶宅"の謎
平賀源内の運命が暗転したのは、安永8年（1779年）夏のことでした。
源内が神田大和町から神田橋本町へと引っ越した新居には、不気味な噂がありました。
この家は、かつて貸金業を営んでいた神山検校の旧宅だったのです。
歴史によれば、神山検校は悪事を働いたとして追放され、野垂れ死にしたといいます。
さらに驚くことに、その子も屋敷の井戸に落ちて亡くなったとの噂があったのです。
「こんな薄気味悪い凶宅をあえて選んだところに、源内の運気の下降があらわれていたのかもしれません」（新戸雅章著『平賀源内 「非常の人」の生涯』）
なぜ源内はこのような噂のある家に引っ越したのでしょうか？
- 経済的に困窮していた可能性
- 凶宅のため家賃が安かった説
- 晩年の精神状態の不安定さによる判断ミス
あなたは不吉な噂のある家に住むことができますか？
引っ越してわずか半年後、源内は思いもよらぬ事件を起こすことになります。
その事件とは、江戸の街を震撼させるスキャンダルでした。
次に、平賀源内が起こした衝撃的な殺人事件の真相について探っていきましょう。
⚠️ 悲劇の誤解 - 謎に包まれた殺人事件の真相はなぜ闇に消えたのか
安永8年（1779年）11月、平賀源内は自ら奉行所に出頭し、「酒の上の過ちから人を斬り殺した」と衝撃の自首をしました。
この事件は当時の江戸で大きな話題となりましたが、驚くべきことに、動機も殺した相手すらもはっきりとは記録に残っていないのです。
木村黙老の『聞まゝの記』によれば、事件の発端は大名屋敷の修理工事を巡る契約トラブルでした。
💡 事件の真相と考えられる流れ
- 源内は大名から庭の工事の見積もりを依頼される
- 既存の町人業者より安い見積もりを出し、トラブルになる
- 仲直りのため源内宅で酒宴が開かれる
- 泥酔して眠った後、重要な設計書が見当たらなくなる
- 源内は町人が盗んだと疑い、口論の末に刀で斬りつける
- 実は書類は手文庫から見つかり、すべて誤解だったと判明
この悲劇的な誤解に気づいた源内は切腹しようとしましたが、弟子たちに止められ、自首したと伝えられています。
しかし、事の次第を知った時には、すでに手遅れでした。
あなたも勘違いから大きな過ちを犯したことはありませんか？
次に、この事件の後、平賀源内がどのような最期を迎えたのか、その謎について見ていきましょう。
💔 非業の死 - 獄中で亡くなった源内の最期に残る謎とは
自首からわずか1ヶ月後の安永8年12月18日（1780年1月24日）、平賀源内は伝馬町の牢獄で52歳の生涯を閉じました。
獄死という悲しい最期を遂げた源内ですが、その死因についても諸説あり、真相は謎に包まれています。
⚠️ 源内の死因として考えられる説
- 破傷風説：黙老の『聞まゝの記』に記載された有力説
- 絶食による餓死説：自責の念から食事を拒んだという説
- 牢内の劣悪な環境による病死説：当時の牢獄の環境は極めて不衛生
「いずれにしても、鬼面人を驚かす非常の人は、最後まで世間を驚かせ続けて世を去ったのだった」（新戸雅章著『平賀源内 「非常の人」の生涯』）
[画像: エレキテル（平賀家伝来）の写真や復元品]
源内の葬儀は親友の杉田玄白や千賀道隆・道有親子、平秩東作らによって執り行われました。
杉田玄白は源内の墓の隣に、彼の天才ぶりを惜しむ碑を残していることからも、当時の知識人たちがいかに源内の才能を評価していたかがうかがえます。
源内の突然の転落と謎多き最期は、彼の「非常の人」という評価を、皮肉にも裏付けるものとなったのではないでしょうか。
最後に、平賀源内の人生から学べる教訓についてまとめてみましょう。
まとめ - 才能を持て余した「非常の人」が残した教訓
平賀源内の悲劇的な最期は、その天才的な才能とは対照的な結末でした。
- エレキテルの修復など多くの功績を残した稀代の天才
- 凶宅への引っ越しが不運の始まりだった可能性
- 設計書の紛失という誤解から殺人事件を起こす
- 獄中で52歳という若さで亡くなる
あまりに多方面に才能を発揮したがゆえに、一つのことを成し遂げきれなかったという評価もあります。
源内の友人であった杉田玄白は「不発の天才」と評しましたが、その多才さと自由な発想は、後世の日本の科学技術や文化に大きな影響を与えました。
あなたは平賀源内の人生から、どんな教訓を感じますか？
多才すぎることの功罪、それとも時代に理解されなかった先駆者の悲劇でしょうか。
よくある質問
Q: なぜ平賀源内は殺人事件を起こしてしまったのですか？
A: 平賀源内は酒に酔った状態で設計書を紛失し、町人がそれを盗んだと勘違いして口論となり、激昂して町人を斬りつけてしまいました。後に設計書は見つかりましたが、時すでに遅しでした。
Q: 平賀源内の死因は何だったのでしょうか？
A: 平賀源内の死因については破傷風説、絶食による餓死説、牢獄の劣悪な環境による病死説など諸説あり、明確な真相は分かっていません。最も有力なのは黙老の『聞まゝの記』に記された破傷風説とされています。
Q: 平賀源内はエレキテルを発明したというのは本当ですか？
A: 実は平賀源内はエレキテルを発明したわけではなく、オランダから持ち込まれた壊れたエレキテル（静電気発生装置）を約7年かけて修復したのです。しかし当時の技術水準では非常に画期的な功績でした。
Q: 凶宅に引っ越した後に平賀源内の運命が暗転したのはなぜなのでしょうか？
A: 平賀源内が引っ越した家は、かつて悪事を働いて追放され野垂れ死にした貸金業者の旧宅で、その子も井戸で亡くなったという噂のある凶宅でした。晩年の精神状態の不安定さや経済的困窮から判断力が低下していた可能性が考えられます。
参考情報
- プレジデントオンライン: ｢人を殺してしまった｣と自首した平賀源内は52歳で獄死…江戸のスキャンダルとなった謎多き事件の真相とは ()
- 新戸雅章: 『平賀源内 「非常の人」の生涯』（平凡社新書）
- わかるんラボ: 平賀源内は何をした人？エレキテルを発明した江戸時代の天才をわかりやすく解説！ ()
- Histonary: 平賀源内はエレキテルを発明した？いつ？実は修復しただけ？どんな影響を与えた？ ()
