逆子の外回転術で重度障害が残る事故が発生。
リスクと成功率を正確に理解し、自分に最適な選択をするために知っておくべきことを解説します。
この記事でわかること
- 逆子(骨盤位)とは何か、自然に治る可能性はどれくらいか
- 外回転術の方法と実施時期、リスクと成功率
- 京都第一赤十字病院の医療事故事例とその詳細
- 逆子の場合の選択肢と意思決定のポイント
目次
😮 逆子(骨盤位)とは?その頻度と自然に治る可能性
逆子(医学的には骨盤位)とは、お腹の中で赤ちゃんの頭が上、お尻が下になっている状態のことです。
正常な状態(頭位)では赤ちゃんの頭が下になっています。
実は妊娠中期では約40%の赤ちゃんが逆子の状態にあります。
ほとんどの場合、妊娠が進むにつれて自然に頭位に戻るため、最終的に分娩時に逆子のままなのは全体の3〜4%程度です。
あなたは「いつまで逆子は治る可能性があるの?」と気になっていませんか?
妊娠35週を過ぎると自然に頭位に戻る確率は低くなり、妊娠37週以降では頭位に戻る確率は7〜8%まで下がります。
そのため多くの医療機関では妊娠34〜35週の場合に逆子が続いているとき、対応を検討することが多いようです。
一般的に赤ちゃんは成長するにつれて頭が重くなるため、自然と頭が下を向きやすくなると考えられています。
しかし母体の骨盤の形状などが影響して逆子のままになるケースもあります。
「このまま逆子だと出産はどうなるの?」という疑問を持つ方も多いですよね。次は外回転術について詳しく見ていきましょう。
🔄 外回転術とは?その方法と実施時期
外回転術は、医師が妊婦さんのお腹の外から手で逆子の胎児を回転させる方法です。
施術後の経過観察のために、多くの場合1〜2日の入院が必要になります。
外回転術の具体的な方法
- 準備: ベッドを斜めにし、妊婦さんに横になってもらいます
- 薬剤投与: 子宮の筋肉の緊張を緩め、回転しやすくするために点滴で子宮収縮抑制剤を投与
- 場合によって麻酔: 痛みの緩和と腹壁の緊張をほぐすために麻酔をかけることも
- 超音波確認: 胎児の向きを超音波で確認しながら施術
- 回転操作: 医師の手で胎児の頭とお尻をつかみ、回転させる
痛みはどうなの? 外回転にかける力は比較的強いので多少の痛みを伴います。そのため多くの医療機関では麻酔を使用しています。
実施時期と費用
外回転術は一般的に赤ちゃんがある程度成熟した妊娠36〜37週頃に行われます。
それ以降になると羊水が減少し赤ちゃんが骨盤内に入り込むため、回転が難しくなります。
💰 費用について知っておきたいこと
外回転術は保険適用されます。麻酔や入院の有無によって変動しますが、約4〜6万円程度が一般的です。
国立成育医療研究センターの例では、麻酔と入院を含めて約4万円とされています。
外回転術を受けるかどうかはあなた自身の選択になりますが、その判断に必要なリスクと成功率についての情報も知っておく必要があります。
ご自身の体と赤ちゃんにとって最良の選択ができるよう、次のセクションではリスクと成功率について詳しく見ていきましょう。
⚠️ 外回転術のリスクと成功率 - 知っておくべき真実
2025年5月に報道された京都第一赤十字病院の事例では、外回転術後に深刻な事故が発生しました。
胎児が低酸素状態になったにもかかわらず適切な処置がされず、生まれた子どもに重い障害が残りました。
この事例では担当医師が業務上過失傷害の疑いで書類送検されています。
⚠️ 外回転術の主なリスク
- 一過性の胎児心拍数異常: 40%程度の高頻度で発生するが基本的には一時的
- 常位胎盤早期剥離: 0.18%程度の確率で発生する重大なリスク
- 破水: 0.22%程度の確率で発生
- 性器出血: 0.34%程度の確率で発生
- 緊急帝王切開: リスク回避のため約3%の確率で必要になることがある
特に重大なリスクである常位胎盤早期剥離は、超音波検査でも即座に判断が難しく、胎児心拍の異常が続く場合などは安全のために緊急帝王切開に移行する場合があります。
実は京都の事例のように「外回転術を受けてお子さんに障害が残ってしまった」という相談が医療過誤専門の法律事務所にも複数寄せられているそうです。
外回転術の成功率
「外回転術はどれくらい成功するの?」と気になりますよね。
外回転術の成功率は約50%と言われていますが、条件によって大きく異なります:
💪 条件別の成功率
- 初産婦・麻酔ありの場合: 約67%
- 初産婦・麻酔なしの場合: 約75%
- 経産婦・麻酔ありの場合: 約100%
- 経産婦・麻酔なしの場合: 約65%
医療機関や医師の経験によっても成功率は変わってくると考えられます。
京都第一赤十字病院の事例では担当医師が「百発百中でいままでうまくいってきた」と説明したと報じられています。
このようなリスクがある中で、あなたならどのような選択をしますか?
これらのリスクと成功率を踏まえて、逆子の場合の出産方法をどう選ぶべきか、次のセクションで考えていきましょう。
🤔 逆子の場合の選択肢 - 外回転術か帝王切開か
逆子と診断された場合、基本的に次の2つの選択肢があります:
1. 外回転術を試みる: 成功すれば経膣分娩(自然分娩)の可能性が開ける
2. 予定帝王切開を選択する: 外回転術のリスクを避け、計画的に帝王切開で出産する
それぞれのメリット・デメリット
✅ 外回転術のメリット
- 成功すれば経膣分娩ができる可能性がある
- 帝王切開の手術跡が残らない
- 次回以降の出産でも経膣分娩の可能性が高まる
⚠️ 外回転術のデメリット
- 成功率は約50%と確実ではない
- 上記で説明したリスクがある
- 痛みを伴うことがある
✅ 帝王切開のメリット
- 逆子のまま経膣分娩するリスクを避けられる
- 計画的に出産日を決められる
- 外回転術のリスクを避けられる
⚠️ 帝王切開のデメリット
- 母体の腹部に手術跡が残る
- 次回の出産も帝王切開になる可能性が高い
- 手術に伴う合併症のリスクがある(出血、感染など)
国立成育医療研究センターでは「外回転術は骨盤位の妊婦さんにとってメリットのある選択肢である」としつつも、「あくまで選択肢であり、外回転をせずにはじめから予定帝王切開という選択肢もある」としています。
医療機関によっては「外回転術は必須の手技ではない」という見解もあります。
緊急帝王切開を心配する方や帝王切開に抵抗がない方には、初めから帝王切開を勧める場合もあります。
最後に、この記事の重要ポイントをまとめてみましょう。
📝 まとめ
逆子(骨盤位)の赤ちゃんをどのように出産するかは、妊婦さん自身の選択が重要です。
今回の記事のポイントをまとめます:
- 妊娠中期では約40%が逆子だが、ほとんどは自然に頭位になる
- 外回転術は成功率約50%で、施設や条件によって差がある
- 外回転術には常位胎盤早期剥離などのリスクがあり、緊急帝王切開が必要になることも
- 京都第一赤十字病院の事例のような医療事故も起こりうる
- 選択は外回転術を試みるか、初めから帝王切開を選ぶかの2択
- どちらを選ぶにせよ、十分な説明とリスクの理解が必要
外回転術を選択する場合は、緊急帝王切開ができる体制が整った医療機関で行うことが重要です。
医師からのリスク説明が不十分だと感じる場合は、遠慮なく質問しましょう。
また医療機関選びも重要で、外回転術の経験が豊富な医師がいるか、緊急時の対応体制が整っているかなどを確認することをおすすめします。
あなたはもし逆子と診断されたら、どのような選択をしますか?
実際に外回転術を経験された方の体験談もコメントでお待ちしています。
よくある質問
Q: なぜ逆子になるのですか?
A: 逆子になる原因は様々ですが、子宮の形状、胎盤の位置、羊水量、母体の骨盤の形、赤ちゃんの大きさなどが影響します。多くの場合は特に原因がわからないこともあります。一般的に赤ちゃんは成長に伴い頭が重くなるため自然と頭位になることが多いのです。
Q: 外回転術の後、もう一度逆子に戻ることはありますか?
A: 外回転術で頭位に戻った後、再び逆子に戻るケースは稀ですが可能性はあります。国立成育医療研究センターの医師によると、このような事例は経験上非常に少なく、通常の妊娠経過で頭位から逆子に戻る確率と同程度とされています。
Q: 初心者でも安全に外回転術を受けるために、医療機関選びでチェックすべきポイントは何ですか?
A: 安全な外回転術のために確認すべきポイントは、①緊急帝王切開がすぐに行える設備が整っているか、②外回転術の経験が豊富な医師がいるか、③リスクについて丁寧に説明してくれるか、④施術中の胎児モニタリングが適切に行われるか、⑤施術後の経過観察体制が整っているかです。不安な点は事前に医師に質問しましょう。
Q: 京都第一赤十字病院の事件の後、外回転術の安全基準は強化されましたか?
A: 2025年5月の京都第一赤十字病院の事例を受けて、具体的な安全基準の公式な強化は現時点で発表されていませんが、多くの医療機関ではリスク管理をより厳格化する動きがあります。産婦人科診療ガイドラインでは従来から、外回転術は緊急帝王切開の準備ができる施設で行うべきとされており、この事例によってその重要性が再認識されています。
参考情報
- 産科医療LABO: 逆子をなおす外回転術、どんなリスクがある? ()
- メディカルノート: 外回転術のリスクとは。生み方を自分で選択するために ()
- 国立成育医療研究センター: 骨盤位外来