「日本は核を持つべき」―仏の歴史人口学者エマニュエル・トッド氏のこの発言は、なぜ突然遮られたのか?
この記事を読むと、フランスの著名な知識人が日本のテレビ番組で核保有を提言した際に起きた出来事とその背景がわかります。
また、日本のメディアと核問題に対する姿勢も理解できるでしょう。
この記事でわかること
🧠 エマニュエル・トッド氏とは?―「知の巨人」と呼ばれる歴史人口学者
エマニュエル・トッド氏は、フランスを代表する歴史人口学者で「知の巨人」とも評される世界的な知性です。
彼の名前を一躍有名にしたのは、ソ連崩壊を的確に予測したことでした。
💡 彼の分析手法の特徴は、人口動態や家族制度の研究から社会や国際情勢を読み解く点にあります。
この独自の視点から世界の動向を予測し、トランプ大統領の勝利なども言い当てています。
⭐ トッド氏の主な著書には以下のものがあります:
- 『最後の転落―米帝国の失墜について』
- 『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』
- 『第三次世界大戦はもう始まっている』
意外なことに、平和主義者として知られるトッド氏が核保有を提言している理由は何でしょうか?
実は、彼の見解は単純な右派・左派の枠に収まらないものなのです。
では、実際にあの番組では何が起きたのでしょうか?
次に詳しく見ていきましょう。
📺 問題の番組で何が起きたのか―「Jamais, jamais!」の真相
2022年11月6日、フジテレビの報道番組「日曜報道 THE PRIME」にエマニュエル・トッド氏がゲスト出演しました。
番組には木村太郎氏、橋下徹氏も同席していました。
⚠️ トッド氏が日本の安全保障について語る中で、核保有に言及した瞬間に予想外の反応がありました。
「唯一の安全保障は、何度も言うが、核を持つことだ。核を持つことは、攻撃的な軍事政策を行うこととはまったく異なる。むしろ逆だ。新たな立場をとるということだ。」
この発言に対し、木村太郎氏は突然フランス語で 「Jamais, jamais!」(絶対にない!絶対にそれは無し!) と反応しました。
そして梅津弥英子アナウンサーも「その議論については、かなり慎重にすべきかと思います!」と言って番組はCMに。
👉 視聴者の反応
この様子がSNSで拡散され、「言論統制だ」「核議論はタブーなのか」という批判が巻き起こりました。
トッド氏の困惑した表情も話題になりました。
なぜトッド氏はこのような提言をしたのでしょうか?
その理由を次に見ていきましょう。
🌍 なぜトッド氏は「日本は核を持つべき」と提言したのか
トッド氏が日本の核保有を提言する理由は、米国への依存からの脱却と真の平和の維持にあります。
意外なことに、彼の核保有論は攻撃的な軍事政策ではなく、むしろ平和主義的な観点から来ているのです。
📌 トッド氏の主張の核心は以下の点です:
- 米国の核の傘は「幻想」であり、真の安全保障にならない
- 日本が核を持つことで中立的な立場を取れるようになる
- 「防衛的核保有」は侵略を防ぐ効果がある
「アメリカの行動の"危うさ"や"不確かさ"は、同盟国日本にとっては最大のリスクで、不必要な戦争に巻き込まれる恐れがあります」とトッド氏は文春のインタビューでも語っています。
❓ あなたはこのような見解について聞いたことがありますか?
実は、トッド氏は15年以上前から同様の見解を示しており、かつては朝日新聞や信濃毎日新聞でも彼の核保有論が紹介されていました。
このような見解が番組で遮られた背景には、日本特有の「核」をめぐる複雑な事情があります。
次にその点を掘り下げてみましょう。
🇯🇵 日本における「核」をめぐる議論の現状と課題
日本では「核」に関する議論は極めてセンシティブで、多くの場合タブー視されています。
その背景には被爆国としての歴史や非核三原則があります。
しかし、国際情勢の変化に伴い、安全保障における核の役割を議論すべきという声も少しずつ出てきています。
ウクライナが核を放棄した後にロシアの侵攻を受けた例なども、こうした議論の契機となっています。
💪 日本の報道自由度の現状
日本の報道自由度ランキングは、国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(RSF)の2025年版で66位。
これはG7諸国の中で最下位です。
⚠️ 核保有に関する議論を制限する要因として考えられるのは:
- 1 被爆国としてのトラウマ的記憶
- 2 憲法9条との整合性の問題
- 3 米国の核政策との関係
- 4 メディアの自主規制
「政府や企業が主要メディアの経営陣に圧力をかけることが常態化している」と国境なき記者団は日本の状況を批判しています。
トッド氏の発言が遮られた出来事は、日本における核議論の難しさと報道の自由の課題を象徴的に示しているのかもしれません。
では、この出来事から何を考えるべきでしょうか?
よくある質問
Q: なぜ木村太郎氏はトッド氏の発言を遮ったのですか?
A: 正確な理由は明らかではありませんが、核保有という日本でセンシティブな話題に対する反応だったと考えられます。木村氏はフランス語で「Jamais, jamais!(絶対にない!)」と言い、その後番組はCMに切り替わりました。
Q: エマニュエル・トッド氏は以前から日本の核保有について言及していたのですか?
A: はい、トッド氏は15年以上前から同様の見解を示しており、かつては朝日新聞や信濃毎日新聞などの日本メディアでも彼の核保有論が紹介されていました。今回が特に新しい主張というわけではありません。
Q: 日本の核兵器保有が議論されにくい場合、その主な理由は何ですか?
A: 主な理由としては、被爆国としての歴史的背景、非核三原則の国是、憲法9条との整合性の問題、そしてメディアの自主規制などが挙げられます。特に公共の場での議論は敬遠される傾向があります。
Q: 現在の日本の報道自由度はG7諸国と比較してどうなっていますか?
A: 国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(RSF)の2025年版報道自由度ランキングによると、日本は66位でG7諸国の中で最下位となっています。この状況は安全保障や核に関する議論の制限とも関連していると指摘されています。
まとめ
エマニュエル・トッド氏の核保有提言が番組で遮られた出来事を通じて、日本の言論状況と安全保障議論について考えてきました。
この出来事から見えてきた重要なポイントは:
- 国際的に著名な知識人の発言でさえ、核問題については議論が制限される現状
- 防衛的・中立的立場からの核保有論という視点の存在
- 日本のメディアにおける自主規制と報道の自由の課題
- 安全保障における「タブー」が健全な議論を阻害している可能性
番組中断の理由については様々な見方があり、時間切れという指摘もあれば、発言内容に対する反応だという見方もあります。
真相はわかりませんが、この出来事が日本の核議論のあり方について考えるきっかけになったことは間違いないでしょう。
あなたは日本の安全保障において、タブー視せずに議論すべき問題はほかにどのようなものがあると思いますか?
コメント欄でぜひご意見をお聞かせください。
参考情報
- 文春オンライン: 「日本は核を持つべきだ」エマニュエル・トッドが指摘する"米国依存の危うさ" ()
- 時事ドットコム: 日本66位でG7最下位 報道自由度、米57位と後退 ()